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動かぬ体
何事もなかったかの様に走るガイン。
その走行速度が突然増した。
女が目を見張る。
「!」
迫り来るガインを目の当たりにして、ほんの少し、数センチだけ、身を退く様にのけ反る女。
(何を退く必要がある?)
───防御は万全のはず。
はたと気付いた女は、足を踏みしめ、少し退いた体を戻そうとする。
(相手になどならぬはずだ。 逆に一撃で吹き飛ばしてくれよう)
ガインの突撃に、何ら恐れる要素はない。
それどころか、必殺すら見越す。
だが。
(動かん、か)
体がいうことを聞かない。
女は、心と体が解離していると思った。
厳密には、この体が、ガインを攻撃することをよしとしていない。
(よくも悪くも修道女か)
ガインが女を間合いに捉えた。




