2044/2233
ああ、いいよ
熱線が射出される瞬間。
穴倉は驚きで目を丸くする。
「!?」
(何が)
クマガイが目の前から消えた。
熱線砲で灼き消えたのかとも思ったが、手応えがない。
そして何より、戦いが終わった気がしない。
と、その時。
「!!」
穴倉の左上腕に痛みがはしった。
見るとそこにはクマガイがいる。
「ぐっ、う」
痛みで漏れた声は最小限。
それは穴倉なりの意地だった。
(やられた、な)
見ると、穴倉の左腕は抉れていた。
それがクマバズソーによる傷なのだと穴倉には分かった。
既に回転は止まっていて、顔を突き合わせる距離にクマガイの顔がある。
「穴倉、俺の勝ちだよ」
「そうか」
二人とも動かず、静かに見据え合う。
「片手の風を止めたんだ」
「そうか」
熱線砲を撃たれた瞬間、クマガイは右手の風の放出を止めたのだ。
そして、残った左手からの風圧で、右方へ吹き飛んだ。
その風で熱線砲を避けたのだ。
「もう、いいだろ?」
「ああ、いいよ」
新たな心の交流は何もない。
だがまた、しばらくは一緒に行動出来るかもしれない。
クマガイはそう思った。
どこか穴倉に認められた気がしたのだ。




