2019/2233
大魔法は必要ない
ゾミが何を思っているのか、デシネには分かる気がした。
ゾミにとってデシネは恩人。
ゾミは人ではなく、デシネもまた人を捨てていて、大雑把にくくってしまえば、異形の存在だ。
「私たちは、異形だからこそ、信頼し合えました」
「……そうだ」
デシネの言葉に答えたゾミは、顔を歪める。
まるで息苦しいかの様な表情。
いや、実際にゾミは息苦しさを覚える。
デシネが離れて行った感覚があるからだ。
ゾミはデシネと行動を共にし、神を裏切ろうとしていた。
共に神に反逆すると思っていた。
「でも司祭様、あなたは変わってしまった」
「……」
地上にいるデシネの妻を見下ろす二人。
デシネは、彼女を取り戻す為に、己の全てを使ったはずだった。
しかし、道半ばにして、幸運が降ってわいた。
「あなたの愛する方は、アリスに救われてしまった。 だから、あなたにはもう、死人化の大魔法は必要ない。 大魔法を行使する為の生け贄も必要ない」
「私だけ願いを叶えてしまった」
「そう……ですね」




