2017/2233
黒の侵食
それはゾミの心を闇に堕とす。
黒球の残滓が活性化し始め、ゾミの体内から漏れ出る。
黒い粉の様な残滓が立ち上ぼり、次第にゾミの体を包んで行く。
その様子を見るデシネの手からも、残滓が立ち上ぼり、黒い気の刃を形作った。
「……」
デシネは黙り、ただゾミを見て、刃を構える。
内心では戦いに幾らか躊躇するが、表面上は眉一つ動かさない。
まるで動じていない様に見える。
しかしデシネは、かつてガインと対峙した時でさえ、気持ちを揺らがせてしまった程、自分が思い入れを持った相手に感情が入ってしまう。
それは人間味ともいえるが、この場においては弱さに繋がる。
動じていない様に見せているが、ゾミとの対峙に心を痛めるデシネ。
黒球は、その心の負い目につけこんで、デシネの心の侵食を拡大しようと、腕を伝って広がり始める。
デシネはそれをチラリと見て、心を落ち着かせようと深く息を吹いた。
すると侵食は止まり、徐々に黒い気の範囲が狭まって、手の周囲だけに戻った。




