2016/2233
デシネだけが救われた
そしてデシネとゾミ。
こちらの二人も、お互いに思うことがある。
デシネはゾミを手駒だと思っていた部分があり、ゾミはデシネを慕っていた。
その関係性は、やや歪んだ形だったが、ある種の信頼関係が成立していた。
しかし、それが突然崩れてしまった。
アリスが妻の結晶化を解いてしまった。
デシネは、妻の為に生涯を費やし、人であることすら捨て、邪神となってまで妻を救う方法を模索していた。
だが、アリスが妻を救い、デシネを、黒球と分離した人間として甦らせた。
これはデシネにとって、特大の幸運だ。
何の悲壮感も残らない結末を迎えてしまった。
お陰で、これよりアリスの仲間となることを了承したデシネ。
しかし、ゾミはアリスの仲間になろうなどとは思っていない。
この不一致がゾミは納得が行かない。
「降りるんですか」
ゾミは人から天使になったことで生きている。
これからもそうだ。
しかし、デシネは違う。
人に戻ってしまった。
デシネだけが救われたのだ。




