2013/2233
激情と無表情
熱線砲の追尾から全速力で逃れるクマガイ。
次第に熱線が途切れ途切れになり、そして消えた。
クマガイは爪を構え、臨戦態勢が整っている。
激情を抑えながら穴倉を睨むクマガイ。
何故狙われたか問いはしたが、実はそれほど戸惑いはない。
クマガイは思う。
(俺だって逆の立場ならそうしたかもしれないよな)
クマガイは鑑定機能を自分に使用する。
すると、自分に黒球の残滓が宿っていることが分かった。
(穴倉の奴、俺ごと黒い球の残りカスを殺るつもりだな)
クマガイは穴倉から視線を外し、デシネ、ゾミを一瞬だけ見た。
しかしすぐに視線を穴倉に戻す。
今、クマガイは、デシネやゾミではなく、穴倉を警戒している。
(きっと俺が殺られても、アリスが生き返らせてくれると思うけど)
クマガイは毛を逆立てて、目をつり上げて穴倉を強く睨む。
邂逅を果たしたとはいえ、穴倉は必要とあらば容赦なくクマガイを倒すだろう。
それは先の一撃の躊躇のなさ、クマガイを追尾したことで明らかになっている。
「俺はさあ! 穴倉に殺られるのは、何か癪なんだよね!」
「そうなんだ」
爆発するクマガイの激情と叫び。
そして無表情の穴倉。




