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2010/2233

やっちまえよ、クマガイよぉ

「まぁよぉ」


 立ち上がるアリス。

 地面に激突した勢いで全身ケガをしている。

 だが、シャノンがあつらえた服はどこも傷みがなく、まっさら綺麗なまま。

 お陰で、アリスのケガが大したものに見えない。


「やりやがったな、ド畜生がよぉ。 組成魔法(なおれや)!」


 アリスの全身の傷が即座に消えた。

 無傷となれば、途端に元気みなぎるのがアリス。

 顔の表情があからさまにギラついて、上空のデシネとゾミを睨む。

 治ったとはいえ、先ほどゾミに殴り飛ばされ、ケガを負わされたばかりなのが気に食わないアリスは、口を尖らせ、浅い不満を口にする。


「あんにゃろう、ムカつくわ~」


 だが、言葉には笑みが混じっている。

 邪神相手に一戦終えた自分に、痛烈な一撃を叩き込んだゾミに興味が急にわいたアリスは、鑑定スキルを発動させた。

 すると、デシネにもゾミにも、暗黒の気が宿っているのが分かった。


(俺のRevolutionほどじゃねぇけど、身体強化の気ってヤツだな。 ………おっ?)


 更に、記述を見ると、その暗黒の気が黒球の残滓(ざんし)によるものだと判明した。


(しぶといなオイ! 完璧に消してぇな、黒い球の力をよぉ。 いつまでも、地味に存在感出しやがってよぉ、ウゼェわ)


 アリスにとっての黒球は、得体の知れない、場をわきまえない異質な存在。

 最も場をわきまえないアリスは、どんな場でも主役は自分だと思っている。

 だから、得体の知れない目立つ存在は意識するし、倒したい。

 そして、その暗黒の力を継いでいる者たちのことも意識する。


「目立つ奴、好きじゃねぇわ」


 だからこそ、反撃の尖兵を送り込む。


「やっちまえよ、クマガイよぉ」


 アリスの声に反応したかの様に、デシネとゾミの傍らにて、爪を剥き出しにするクマガイ。

 デシネもゾミも、お互い以外の存在がこんなにも近距離にいたことにギョッとした。

 ゾミに殴り飛ばされた時、アリスは、背中からクマガイを切り離していたのだ。

 クマガイが呟く。


「そろそろ終わらせてやるよ、俺が」


 クマガイの腕が振るわれ、交差した。

 切り裂かれたデシネ、そしてゾミ。

 二人の肩口から斜めに傷が入り、鮮血が吹き出した。

 アリスが叫ぶ。


「オイ! オッサンは味方!」

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