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自分で歩もう
「俺は与えられた俺をやっていただけだ」
そう呟く穴倉。
だが苦悩の雰囲気はなく、顔は晴れ晴れとしている。
そして、自嘲の雰囲気もない。
それは穴倉が、自分に自信を持てているからなのかもしれない。
「そうじゃなくて、自分で自分をやらなきゃいけなかったんだ」
尚も呟く穴倉は笑顔になっている。
魔物の顔は、人のそれと比べて表情が分かりにくいかもしれない。
だが、誰が見ても穴倉の表情は読み取ることが出来るだろう。
それほどまでに、今の穴倉はいい顔をしている。
普段は無表情でいることが多いが、誰が見てもいい笑顔だと言われる程に、だ。
穴倉がこんなにも晴れやかな顔になれたのは、これからを自分で歩もうと思えたから。
与えられた力にただ頼るのではなく。
出来ることをやって、成長して行きたい。
そう穴倉は思った。
ただ魔物である自分を受け入れるだけではなく、人としての記憶も持っているのだから、穴倉は、その記憶も自分のものとして受け入れ、続きを自分で作ろうと思ったのだ。




