1998/2233
答えは出ない
吸血鬼という種族から離れようと思ったはずなのに、踏みとどまると、吸血鬼への帰属意識が戻っていたシャノン。
同族の仲間たちを捨てようとしたはずが、いつの間にか気持ちが戻っていて、〝我々〟という言葉が自然に出てしまっていた。
シャノンは、これが自分の隠れた本音だったのではないかと考える。
(私は、裏切って、裏切って。 そして)
吸血鬼は激情に駆られやすく、ひとたび昂れば、独自の感情が暴れ出す。
長らくそう思っていたシャノンだったが、今になってみると、ただひたすらに感情の振り幅が大きいだけの様にも思える。
そしてシャノンは、真祖であるフォンテスの落ち着きに、変化に追随して行く様な実感があった。
それこそ、まるで模しているかの様に。
「感情を模することが、吸血鬼の特性……?」
その呟きは、誰にも拾われることなく、シャノンは沈黙した。
誰もが聞き逃したのかもしれない。
しかし、改めて誰かに聞かせたいとも思わない。
シャノンは、ただ見上げる。
視線の先にはデシネとゾミ。
愛憎垣間見える二人がいる。
その対峙は、どこか自分たち吸血鬼の諍いに似ているのではないか。
シャノンはそんな気がしたが、答えは出ない。




