1997/2233
我々吸血鬼
集まる視線。
だが、そこに吸血鬼たちからの強い視線は一つもない。
穴倉の変化をただ眺めているだけだ。
シャノンが言説を続ける。
「……吸血鬼には、あの様に、食したものを模する能力はありません。 我々吸血鬼には……ッ……!」
ハッとするシャノンに、吸血鬼たちの視線が一瞬集中する。
視線には鋭さ厳しさはかんじられず、むしろ、見守る様な暖かみをかんじたシャノン。
フォンテス、イゴール、マシアスの三人は、まさに三者三様の性格をしているが、吸血鬼としての情緒は似通っている。
激情に駆られやすいのが吸血鬼の特徴の最たるものだ。
そしてその特徴の片鱗が、今、シャノンの言葉にあったのだ。
「………ッ!」
黙りこくるシャノン。
自分で言ってしまったことに閉口しているのだ。
その姿を見て微笑を浮かべるフォンテス。
目を瞑り、「そう、我々吸血鬼には、模する能力などない」とだけ言った。
シャノンは無意識のうちに〝我々吸血鬼〟と言ったことを思い出す。
離反しようとしたにも関わらず、〝我々〟と言ったことを、だ。




