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吸血の魔物、捕食の魔物
何が引っかかるかというと、穴倉が何者か、自分たちが何者か、という点だ。
フォンテスたちは吸血鬼だ。
彼らは自分たちの種族を誇りに思っている。
吸血鬼という種族を誇りに思っている。
故に、類似する生態を持つ穴倉に、意識を向けることがあるのだ。
「何なんだ、あいつは」
そう吐き捨てたのはマシアスだった。
何なんだ、と口に出しながら、しかし、マシアスは、穴倉が何者なのか、どんな魔物なのかなど、実のところ気になってはいない。
いや、正確には、気になっていなかった。
何故ならば、マシアスの目には、穴倉は吸血の魔物というより、捕食の魔物。
いや、悪魔か。
「俺たち吸血鬼とは別の存在だ」
答えたのは、真祖の吸血鬼にして一族の長。
フォンテスである。
「と、仰いますと?」
イゴールがフォンテスに問うた。
フォンテスは内心苦笑しながらも、周りの者へ視線を投げかける。
(真祖といった地位があるお陰で、吸血鬼は皆、俺の言葉には耳を貸す。 だから今は俺が立ち回るべきだ。 利用させてもらうぞ、化け物)




