1994/2233
吸血と姿かたち
ごくり、ごくりと、何かを飲む様な音がその場にこだまする。
地上にいる者たちは、皆、穴倉の様子を遠巻きに見ていた。
「……血を飲んでいるのか」
そう言ったのはジャン・ジャック。
険しい表情のジャン・ジャックだが、不快に思ったり、青ざめたりといったわけではない。
異形の魔物が異形としての営みをなしていることを、ただ見ているだけだ。
「……その様だな」
答えたのはフォンテス。
吸血鬼となって日が浅い、吸血鬼の長。
フォンテスは、本能のままに血を吸うことに抵抗などありはしない。
だが、複雑な思いで穴倉を見つめる。
「……」
他の吸血鬼たちも、穴倉に思うところがある。
自分たちも穴倉も、吸血をなす魔物だ。
しかし自分たちは人間に似て、穴倉は異形。
この、吸血をなすという共通点と、姿かたちの相違点。
ここがどうにも引っかかる。




