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闇の力の胎動

 デシネの腕の傷は深い。

 だが、出血はもう止まっている。

 痛みはあるが、延々痛がるデシネではない。

 いや、痛がっていられる状況ではない。


(やはり、力に差があるか)


 黒球と別離したデシネの力は激減している。

 アリスはゾミの衝撃波を相殺したが、デシネは同じ様には出来なかった。

 自分の力不足に歯ぎしりするデシネは、ゾミの背中を見た。

 片翼ちぎれたゾミの背中に、鮮血。

 そこでデシネは、自分の回復力に気付く。


(わたしの方が、血が止まるのが早い……?)


 デシネは黒球と別離した。

 それは間違いない。

 だが、黒球の力が全て自分から去ったわけではない。


(私は、邪神の力と完全に切れたわけではない……?)


 自分の中にある闇の力の胎動をかんじるデシネ。

 アリスとゾミの対峙を前にして、自分の力不足をかんじ、そして力の残滓(ざんし)を見つけたデシネは、内なる力と向き合おうとしている。

 その異変に、アリスもゾミも気付いてはいない。

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