1991/2233
闇の力の胎動
デシネの腕の傷は深い。
だが、出血はもう止まっている。
痛みはあるが、延々痛がるデシネではない。
いや、痛がっていられる状況ではない。
(やはり、力に差があるか)
黒球と別離したデシネの力は激減している。
アリスはゾミの衝撃波を相殺したが、デシネは同じ様には出来なかった。
自分の力不足に歯ぎしりするデシネは、ゾミの背中を見た。
片翼ちぎれたゾミの背中に、鮮血。
そこでデシネは、自分の回復力に気付く。
(わたしの方が、血が止まるのが早い……?)
デシネは黒球と別離した。
それは間違いない。
だが、黒球の力が全て自分から去ったわけではない。
(私は、邪神の力と完全に切れたわけではない……?)
自分の中にある闇の力の胎動をかんじるデシネ。
アリスとゾミの対峙を前にして、自分の力不足をかんじ、そして力の残滓を見つけたデシネは、内なる力と向き合おうとしている。
その異変に、アリスもゾミも気付いてはいない。




