1988/2233
私だけ置いていくのか
振り返るゾミ。
追撃の手をかざそうとしたその時、デシネと目が合った。
ゾミにとってデシネは、恩人だった。
そして、共に天を穿つ志を持つはずだった。
なのに、何かが狂った。
「私たちは同志だった」
ゾミが知るデシネは、優しく、温かく、そして芯がある、寄り添ってくれた恩人だった。
影があり、闇を垣間見せる、寂しげな男のはずだった。
そして、妻を救いたいという悲願の為に、人であることすら捨て、邪神となったデシネだからこそ、ついて行こうと思えた。
ゾミも人ではないから。
(私もあなたも人ではなかった)
なのに。
「なのに!」
デシネは邪神と別離し、人として甦った。
そしてデシネの妻も、人として甦った。
二人はこれ以上ない再会を果たした。
だからゾミは心乱れた。
「私だけ置いていくのか!」
波動の一撃が、デシネに向かって放たれようとしている。




