1987/2233
奥に覗く目は
そして衝撃波が翼から放たれた。
「何ッ!?」
その瞬間、デシネは咄嗟に顔の前で腕を交差し、防御の体勢を取り、全身に力を入れた。
ゾミの背後という絶好の攻撃位置に入り込めたデシネは、今いる場所から吹き飛ばされまいとして、対衝撃の防御のつもりだったのだ。
しかし、体を押される様な衝撃は来ず、代わりに、鋭い痛みがデシネの両腕を襲った。
「ぐぁぁぁっ!」
その絶叫は、聞いた者が苦痛に思う程の痛々しさで、比較的近い距離にいたアリスが驚き顔になったほど。
そして一瞬の間があって、デシネの両腕に、骨まで達する斬痕がはしる。
次いで、血が吹き出した。
どす黒い色で、鮮明に赤い血よりもグロテスクに見える。
不快げに顔をしかめたアリス。
しかし、目をそらさずに、ゾミとデシネのことを見ている。
デシネは叫んだ後、痛みで呻いていたが、腕の傷は深いものの、骨を切断されるまでにはなっていない。
しかも闘志は衰えていない。
血塗れの腕の奥に覗くデシネの目は、鋭くゾミを睨んでいる。




