1985/2233
ゾミにとってのデシネ
思えば、デシネは司祭で、ゾミは患者だった。
病気から救ってもらったことで、ゾミも、ゾミの両親も、デシネに全幅の信頼を寄せた。
デシネは、邪教の司祭という禍々しい立場にありながら、人当たりがよく、まだあどけなさが残るゾミにも敬語で接した。
病気で両親に苦労をかけていたゾミは、両親への負い目があったし、自分は子どもで、大人たちに庇護されている弱者と思って、劣等感を持っていた。
両親はゾミの負い目と劣等感をかんじ取れていたが故に、より無償の愛を注いだ。
それはゾミの胸を熱くさせたし、愛されている実感をもたらしてくれた。
そしてデシネとの対面。
ゾミは、いくら両親の愛を受けようと、弱者であることに変わりはないと思っていた。
しかしデシネはゾミをまず人間扱いし、優しく接した。
空虚だったゾミの心に、光が射した瞬間だったかもしれない。
ゾミにとって、デシネは特別な存在となった。
だからこそ。
だからこそ、デシネの真意が聞きたい。
ゾミが力なく問う。
「答えて……くれませんか……?」
「……」
デシネは沈黙したまま、腕を振り下ろす。




