1962/2233
どうしたものだろう
そういうとデシネは上空を仰ぎ見た。
見据える先にいるのはゾミである。
対するゾミは、目を見開いて、眼光強く地上のデシネを睨む。
ゾミの心には黒球の残滓がまとわりつき、憎しみが、敵意が、際限なく湧き出し始めている。
いわば、操られている状態だ。
だからこそ、ゾミが正気であればあり得ない裏切りが起きているのだ。
本来ならば、ゾミにとってデシネは大恩ある相手。
敵対することなどあり得るはずがない。
だが、実際には敵対しつつある。
今のゾミは、黒球の残滓によって、心が造り変えられ、曲げられているのだが、ゾミはそう認識出来ていない。
逆に、先程まで同じ状態にあったデシネは今、自分の心の変化を認識出来ている。
黒球と離れたことで、今の自分の心が正気であることを認識出来ている。
とはいえ。
「やることは変わりませんね」
デシネの視線にゾミの視線が重なる。
二人の感情はすれ違うが、どちらも相手の変化に困惑していない。
敵対心を剥き出しにしているゾミ、黒球が離れ正気となっているデシネ、両者共にだ。
(さて、どうしたものだろう)




