1957/2233
焦れるアリス
アリスの思考は単純だ。
「お前の奥さん助けてやったんだから、お礼に俺を助けろや」
概ね、この言葉通りのことしか考えていない。
そこには駆け引きなどは存在しない。
アリスは、自分が駆け引きしないのだから、相手も駆け引き禁止だと思っている。
ただシンプルにそう思っている。
だが、アリスを計りきれないデシネは、慎重になってしまう。
「……何を企んでいるのですか」
「お前こそ」
貸しを作ったから恩に着せてみる。
本当にこれだけのことなのだ。
しかしデシネはそう思えず、顔をこわばらせてアリスの動向を警戒する。
このなかなか話が進まない様に、アリスは焦れ始め、苛立ちを素直に顔にあらわして、悪態を突き始めた。
「お前まじで何なん? 俺が仲間になれっつったらよぉ、はいお願いします、っつって仲間になれや。 ケンカ売ってんのかオイ、しばくぞ」
アリスの恫喝めいた言葉に、デシネが険しい顔になる。
一触即発とまでは行かないが、不穏な空気なのは確かである。




