さっさと答えてほしいわ
改めて相対してみると、アリスの体躯は思いのほか小さい。
長身のデシネは少し目線が下がる。
対するアリスは目一杯アゴを上げ、低い位置からながら、視線としては見下ろす格好だ。
それは俯瞰で見れば滑稽にも映る光景だが、今のデシネにとっては、重厚な圧力をかんじる仕草であった。
アリスは存在を高め、邪神とも対峙する力を持っているが、今のデシネはその邪神の力を持っておらず、戦えば、敗北どころか、殺されること必至である。
それほどまでに現在の二人には差があり、だからこそデシネは、どうにか戦いを避けたいと考えていた。
動く妻が傍らにいる僥倖は何ものにも代えがたい。
今のこの状況を絶対に手放したくないデシネは、しっかりとした対話をしたいと思い、先刻のアリスの言葉を焦点に用いての探り、駆け引きを開始する。
「あなたは私に、仲間になれと仰っていましたが……?」
ここで一旦会話を止めるデシネ。
自分のスタンスは相手に見せず、相手の真意、目的を提示させようとしているのだ。
だがアリスはその駆け引きを潰しにかかる。
「俺の仲間になるのかならねぇのか、さっさと答えてほしいわ。 なぁ」
アリスの顔と声に、少し苛立ちが混ざる。
デシネはそれを敏感に感じ取り、改めてアリスを警戒する。
有利にことを運ぶつもりなのだと思うデシネは思索を巡らせるものの、しかしアリスは、そこまで深く考えてはいない。




