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再び闇を帯びる
デシネはしばらく茫然としていたが、妻の手を取ると静かに涙を流し始めた。
妻はデシネの辛苦を知らない。
だが、デシネのやせ細った様を見て、思うところあるのだろう、こちらも涙を流し始めた。
夫婦の再会を見るアリスは状況が飲み込めず戸惑い、のけぞりながら苦笑する。
「うぇぇ~泣いとる~みっともな~」
その言葉をかけられて、いい気がする者はいないだろう。
ましてやデシネにとっては、悲願である妻との再会。
だがデシネは、悪い気もしなかった。
闇と結合し、人を捨ててまで夢見た妻の救出が、いとも簡単に成し遂げられてしまった。
あまりの唐突さに、「こんなことがあるのか」としか言葉が出て来ないが、喜びがとめどなく溢れて来る。
「……!」
だが、不意にデシネの表情が曇る。
そしてゆっくりとアリスを見た。
(敵である私の妻を甦らせて、何をする気なのだ?)
デシネの心が再び闇を帯びる。




