クマガイの疎外感と穴倉の気付き
またも沈黙の時間が訪れるが、しかし、誰もがどこか晴れやかな顔でお互いを見る。
問題は何も解決していないので、クマガイはアリスに疑問をぶつけるが、口元は笑っている。
「いや、俺はさ、騙されてたのかって思ってさ。 アリスは俺たちが人間じゃないって知ってたんだろ?」
「ちょい前に知ったわ」
「あ、そうなの?」
「おうよ。 お前ら見た目が悲惨だからよぉ、しばらく黙っとこう的な気遣い発動してたわ」
「あ、そういうことなの?」
「おうよ。 どいつもこいつもショックでかいだろ? 服部も池中もハートそんな強くねぇじゃん、女だし」
「そうなの?」
クマガイは服部あずみとも池中瑠璃とも深い関係性を持っていない。
記憶を探っても、まともな交流がほとんどない。
故に「そうなの?」と聞く他ない。
だが穴倉は、偽りとはいえ、友だちであった記憶を保有している。
お陰で服部あずみの性格も、池中瑠璃の気性も理解している。
それを踏まえて、アリスの言葉に返答することが出来た。
「そうだな。 あいつらに本当のことを言って大丈夫なのか、心配にはなる」
「……」
黙りこくるのはクマガイ。
友だちとしての記憶を持たないクマガイは、疎外感を抱かずにはいられない。
そして穴倉は、はたと気付く。
(俺も、アリスと一緒で、あいつらの心配をしてるんだな)
「ふふふ、アハハハ」
思わず笑ってしまう穴倉は、女たちを心配した自分の優しさ、感情の発見に喜びを覚えた。
穴倉は人ならぬ異形だが、心はまるで人間の様だと、自分で思えたのだ。




