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俺もお前も、意外と人間っぽいと思う

「ムカつく奴だよ、お前」


 クマガイの口からついて出たのは、穴倉への言葉。

 それは前後の脈絡がない様にも見えたが、しかしクマガイと対峙する穴倉にとっては、言われて当然のことだと思えた。


「そうか」


 だからこそ穴倉は、ただ相づちを打つ。

 戦う理由など特に必要とはしない穴倉だが、ムカつくと言われれば、それはもう戦う理由としては充分だ。

 今目の前にいるクマガイを敵と認識することに抵抗はない。

 かつての記憶が植え付けられたものなのだと知っている穴倉にとって、クマガイは、アリスの生を彩る脇役でしかない。

 そこを超え始め、アリスの友になり始めていたクマガイに対して、穴倉は、複雑な感情を抱くところがあった。

 それは嫉妬や焦りが混じっていたのだと、今の穴倉はぼんやりと思っていて、そうなると、突発的に涙してしまったことに乗った感情とも何となく向き合う気持ちになる。

 あれは自分の存在が脇役だと認識したが故に、クマガイの様に自由にはみ出したかったのだろう、という自己分析となった。


「俺もお前も、意外と人間っぽいと思う」


 そう口にした穴倉は、一つ何かが吹っ切れた様な、別に何も変わっていない様な、どちらにしろ悪くない気分であって、どうということもない様な、えもいわれぬ感情が湧いて来て、自然と顔が笑顔になっていた。

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