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頭痛と不快感

「っ……!」


 省みるというのは、本来ならばクマガイがもっとも苦手とすることであった。

 そもそもクマガイは物事を省みる性格ではない。

 ただそこにある事象に反応して、脊髄反射で行動する様な性格がクマガイである。

 短絡的で刹那的と言い切ってよい。

 これ以上でもこれ以下でもないと言える程に、瞬間のみを生きていたはずだった。


「うっ、頭が……!」


 頭痛に顔をしかめるクマガイは、素早く首を振る。

 それは、水を浴びた動物が水滴を飛ばす様な動き。

 水滴はないが、何かを振り落とすかの様なクマガイの動き。

 これを見た穴倉は、意識薄弱、混濁に陥っているクマガイを何となく把握しながら、しかし、それをどうにかしようとは考えていない。

 ただ戦い、クマガイを排除出来ればいいと考えている穴倉は、まさに戦闘生物であり、何の思い入れもクマガイに抱いていない。

 しかしクマガイにとって穴倉は、ある意味では思い入れがある相手と言えた。

 クマガイは、黒球の欠片の影響で記憶が錯綜している。

 植え付けられた偽物の記憶をそれと認識出来なくなっていて、前世の記憶だと思い込み始めている。

 前世の穴倉は、クマガイにとって、いけ好かない奴だと言えた。

 頭痛と共に不快感がクマガイの中に充満して行く。

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