お互いに少し驚いた顔
「てめ……ッ!」
とはいえクマガイは、真正面からガードしていた。
吹っ飛ばされながらも、後方に回転し、きれいに着地する。
そして再度の突撃へ。
その時、風が、先程よりも多く噴出された。
更なる速さで、弾丸の様に迫るクマガイ。
「食らえッッ!」
「食らわないよ」
受けて立とうと爪を構える穴倉は、ポツリと呟く。
速度に驚かず、動じていないかの様な態度である。
そんな穴倉に対しクマガイは、爪を構え、横振りの動きを見せる。
そのまま回転したクマガイの爪が、待ち構える穴倉の爪と接触した。
接触は相変わらず金属の様な音がする。
だが、カィィィン、という一際高い音。
クマガイも穴倉も、意に介さぬものの、ただ爪をぶつけ合った時とは違う状況となったことに、両者総毛立った。
体格では穴倉の方が圧倒的に上回っているが、クマガイの風を使っての突撃で、その激突はほぼ互角であった。
しかし、クマガイの繰り出す爪撃が、回転の勢いの分、その威力を増し、接触した穴倉の腕を外に弾いた。
だがクマガイの回転も止まり、二人は動きの中、一瞬視線を交わした。
お互いに少し驚いた顔。
クマガイは、穴倉の心が少し自分に流入した様な感覚に陥る。
その心の揺らぎを目撃したことで、穴倉との心の距離が、にわかに縮まった様な気がして、何だか満更ではない。




