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だから聞いてるのに
だから穴倉は、無神経に問うことが出来る。
クマガイに問うことが出来る。
「何がよくもなの?」
そして、その顔は涼しい表情。
そんな穴倉に飛びかかるクマガイは、穴倉のスタンスが嫌と言う程に分かってしまう。
問うてはいるが、問うていない様なものだと分かってしまう。
何故なら、穴倉は無表情。
クマガイを見つめながら、どこか遠くを見ている様な、そんな雰囲気がある。
記憶の中での穴倉と同じだと、クマガイは思った。
だから言わずにはいられなかった。
怒りで足が震えた。
斬りかかろうと踏み込むクマガイだが、何だか足をすくわれた様な、空足を踏んだ様な気がした。
だが実際にはしっかり踏み込むことが出来ていて、跳躍するクマガイ。
緑の風が噴出され、伸び上がる様に迫ったクマガイの眼前には穴倉の顔がある。
タイミングを逃すことなく爪撃を繰り出すクマガイ。
全身を連動させて、まさに獣じみた大振りな動きで穴倉を襲うが、その速度はとてつもなく速い。
「俺のことなんて分からないんだ! お前は!」
「だから聞いてるのに」
しかし穴倉は難なく爪で受け止めた。
更には、蹴りを出し、クマガイを吹っ飛ばす。




