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剣戟の中で
二人の爪がぶつかり合い、金属音にも似た剣戟の響きがこだまする。
宙に浮きながらメチャクチャに爪を振るうクマガイは息をはずませ、時折叫ぶ。
「うわぁぁぁぁぁ! うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
錯綜し、朦朧とし、何が何だか分からぬまま、ただ凶刃を振るうが、そのどれもが、いとも簡単に弾かれる。
弾く穴倉は落ち着いた表情。
息一つ乱さず、クマガイの動きを的確にただ捌いて行く。
「……」
メチャクチャに振るわれるクマガイの爪だが、そのリズムは実は一定。
だからこそ穴倉にとっては動きが読みやすく、爪を捌きやすい。
お陰で、思考に余裕が生まれる穴倉。
(素人の剣なんて、こんなもんなんだよね)
これは何も、クマガイを見下しているわけではない。
穴倉は鼻で笑うが、それは自虐の笑いでもあるのだ。




