服部はまだ寝ている
「…というわけで、ブレブロは今、孤立しそうなのだ。よって、君たちにも振る舞いを少し考えてもらいたい。」
ゴードン薬店の前で、簡素な丸椅子に座っているのは、ゴードン、ガイン、アリス、タシリモである。
ゴードンは串を焼いている。
相変わらず、薬店の仕事をする様子はない。
ガインは、串焼きが出来るのをじっと見ている。
朝ごはんは、これで済ませようという魂胆だ。
アリスは、タシリモの話にげんなりした顔で答える。
朝ごはんがまだなので、気が立っている。
「知るかよ。おっさん自分のせいだろ。何自分の不手際を俺たちに被せようとしてんだ。頭おかしいんかお前。もっとハゲろクズ野郎。」
そう、タシリモは、後頭部が禿げ始めていた。
「責任の一端は君たちにもある!って、私はハゲていないぞ!」
本人は気付いていない。
アリスが勝ち誇った顔で言う。
「お前気付いてないんか。後ろまぁまぁハゲとるわ。つーか俺たちのせいにするとか、お前、人として終わってんな!もう帰れこの野郎!」
「何だと!パーティーランクC、個人ランクCから開始という特例措置の恩も忘れて、何という言い草だ!」
「出た出たオイ!年配の方にありがちな、恩着せがましいやつがオイ!俺の実力を持ってすればGランクからでも問題ないわ!すぐSランク行くわ!つーかCランクとか初耳だわ!ちゃんと説明しとけバカ!お前何かと抜けてんだよ!毛髪も説明も!」
「う、うるさい!さっさとCランクに相応しい働きをしろ!私の評判がこれ以上悪くならない様に、しっかり働け!そうだ聞いたぞ!君、左脇だけちょっとワキガなんだってな!私の髪をどうこう言う前に、呪われた自分の脇をどうにかしろ!」
「あっ、この野郎!下らねぇ論点ずらししやがって、本性出て来たなオイ!言っとくけど俺のワキガは、汗かいた後に脇ゴシゴシやんないとほんのりとしか匂わねぇわ!これだからじじいはよ!」
「何だと!?私はまだじじいではない!初老だ!」
「初老の時点でじじいじゃねぇか!老い初めって書いて初老だからな!くたばれ初老のハゲじじいが!」
「なっ!?何と失礼な!もういい!もーいい!君たちのパーティーをランクGに落として、C以上のクエストクリアしないと服買ってあげないって、マスコミに発表してやる!Gからでも問題ないんだもんね!?頑張ってCのクエスト受けられるランクまで這い上がって下さいねーだ!」
タシリモが走り去る。
「何だあの野郎?頭おかしいんか…。」
「バーカ!アリスちゃんのバーカ!ワキガー!」
「あっ、この野郎!」
アリスは逃げるタシリモを追いかけ、頭にゲンコツを一発お見舞いした。
次の日、アリスは、個人ランク、パーティーランク共に、最低ランクのGに降格させられていた。




