自爆はやめとけや
そしてそれは穴倉も同じである。
「わかった」
穴倉の返事は、軽く、そっけない。
まるで生命に無頓着の様な、何の感情も込もっていない様な声。
それも当然といえば当然か。
「何だったら俺、自爆しようか?」
穴倉は自らの生命を燃やし、自爆することすら無感情にやってのける。
アリスが復活させてくれると信じている、信じられるとはいえ、自らの生命にすらこうなのだから、クマガイの生命を奪うことに何の抵抗感もないのだ。
その言葉を受けて、アリスは素早く返答する。
「自爆はやめとけや!」
絶叫する様な、しかし微妙に芯のない、こなれた声。
穴倉が自爆しても、また復活させればいいという気持ちはアリスにもある。
だが同時に、仲間が何の抵抗もなく、立て続けに生命を捨てる姿は見たくないな、という思いも抱くのだ。
それというのは、先刻、アリスが穴倉に自爆を依頼した形になり、穴倉がすんなり受け入れたことで、アリスの中で穴倉の自爆には抵抗感がある。
出来れば、もう死んでほしくない。
しかし、それを言うには若干の照れがあるアリスは、照れ隠し半分、本音半分の呟きを紡ぐ。
「おめぇはわかんねぇだろうけど、自爆から逃げるの大変なんだわ。 めんどくせぇんだわ」
死んでほしくないのも本音だが、めんどくさいのも本音。
穴倉の自爆は効果範囲が広大で、避難に一苦労である。
それがイマイチ理解出来ていない穴倉は、キョトンとした顔で佇んでいる。
その顔を見て罵倒するアリスは、微妙に半笑いである。
「何でわかんねぇんだ馬鹿野郎。 核爆発みてぇにえげつねぇんだよ、おめぇの自爆はよぉ」
それを聞いた穴倉は、しばらくはキョトンとした顔のまま。
そして腑に落ちた納得顔となり、なるほど、と一言。
自分の生命の値段をかなり軽く見積もっている穴倉には、自爆に難色を示されることが何故なのか、一瞬わからなかった。
だが、アリスの吐いた「めんどくせぇ」と「核爆発みてぇにえげつねぇ」という言葉で、自分の自爆のイメージが湧いて、納得出来たのである。




