表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1898/2233

腹立って来たわ

 半透明に透ける穴倉の体の中に、じわじわと広がる闇色は、遂には全身に回りきる。

 しかし、濁りや澱みは一切なく、穴倉の体内は依然としてきれいに透き通ったままである。

 クマガイは穴倉と爪を合わせてせめぎ合っていたが、風を噴射させ、後退する。

 そして一言呟いた。


「欠片を取り込んだか」


 その声は確かにクマガイのもの。

 だが、そこにはクマガイらしい激情、絶叫もなく、気弱なぼやきもない。

 抑揚なく話す様子はむしろ普段の穴倉に近い。


「じゃあさ、穴倉、俺はお前を倒して、欠片を取り出すよ」


 意識も確かにクマガイのもの。

 黒球に意識を乗っ取られるのではなく、クマガイの意識のまま、アリスに、穴倉に、敵意を向けるクマガイ。

 対する穴倉は、特に動揺も見せず涼しい顔。

 そして穴倉らしい、抑揚のない声で、物騒な発言に至る。


「じゃあ俺がお前を倒したら、お前もろとも黒いのも食うよ」


 クマガイはただ黒く染まり、敵対の意思を見せるが、穴倉は透き通ったままで、そんなクマガイの前に立ち塞がる。

 黒球の欠片と同化したクマガイは、穴倉が果たしてどこまで本気で言っているのかがわからない。

 だがアリスは、穴倉が本気で言っているのだとわかっている。


(ガチだわ、こいつ)


 アリスは穴倉の気性をわかっている。

 仲間同士であろうと、躊躇なく戦うだろうということを。

 そして、穴倉に捕食されるクマガイを想像する。


(まぁ、止める理由はないわ。 クマガイのアホはよぉ、俺をヌッコロそうとしたし。 ……あっ、腹立って来たわ)


「やっちまえよおめぇ、穴倉よぉ」


 そして穴倉の背中を押そうとする。

 アリスは、例えクマガイが穴倉に殺されたとしても、どうということはないと考えている。

 魔法で復活させればいいと考えている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ