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力ない顔
爪と爪の鍔迫り合いを見るアリスの瞳に、黒く染まるクマガイの姿が映る。
クマガイの変化、これは、クマガイが黒球と融合し、邪神化する過程に他ならない。
その様子にアリスは少なからずショックを受け、呆然とする。
自分たちが造られた存在であることを知っているアリスにとって、クマガイの変化は、色んな感情を引き出されるもの。
困惑、落胆、寂寥、そして悲しみ。
アリスにも、クマガイにも、前世はない。
今世こそが自分たちだとアリスは思っている。
故に、アリスとクマガイとして絡み構築した関係性こそが自分たちだと認識している。
有栖川が熊谷を見下して踏みつけていた関係性ではなく、お互い認め合い、ある種のパートナーの様になっていたのが自分たちの関係性だとアリスは認識しているのだ。
つまり有栖川とアリスは違うし、熊谷とクマガイも違うとアリスは思っていて、アリスとクマガイは分かり合えていた気持ちになっていたアリスにとって、現在のクマガイの迫撃は心を抉った。
力ない顔になるアリス。
そんな時、鍔迫り合いのもう一方の雄・穴倉の全身にも変化が訪れる。
「……っ!」
息を飲んだのはアリスだったのか、穴倉だったのか。
穴倉の全身もまた、黒く染まる。




