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爪と爪
次の瞬間、穴倉の爪とクマガイの爪がぶつかった。
爪と爪は、ギィン、という音をたてる。
その音にハッとしたアリスが見ると、眼前には飛んでいるクマガイの爪。
そして、クマガイの爪を阻んでいる穴倉の爪。
クマガイがアリスを狙い、穴倉がアリスを守った格好。
いや、実際に、クマガイが狙い、穴倉が守ったのだ。
穴倉の顔が殺気に満ち、クマガイを激しく睨み付ける。
「戦う理由が出来た」
穴倉の声は、抑揚なく発せられた。
だが、何か、気持ちを抑えている様でもある。
先刻まで剥き出しの心で、触れ合うことが出来たはずの穴倉とクマガイ。
だが今はもう、触れ合えない。
クマガイは絶叫する。
「邪魔をするなよ穴倉ァ!」
狙うはアリスの首。
クマガイの全身の体毛が、魂と同じ様に黒く染まってゆく。




