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そして黒球は隙につけ込む。
クマガイの体毛が、全身が、黒く染まる。
これは、クマガイの魂が黒球の欠片に相乗りされたことを意味する。
───クマガイが乗っ取られる。
そうかんじたアリスは、飛び退きながら眉をしかめた。
「ちっ、馬鹿野郎がよ!」
言葉と共に、アリスは、クマガイを拒絶した。
その瞬間、クマガイの魂は、黒球の欠片もろとも拒絶され、アリスの精神世界の中から追い出された。
続いて、穴倉の魂もアリスの精神世界の中から消える。
穴倉は、飛び退くアリスの背中に触れてから、無言で出て行った。
「ちっ、馬鹿野郎がよ……!」
アリスは、先刻と同じ言葉を吐く。
だがそれは、拒絶から発したものではない。
何とも言えない複雑な表情のアリス。
発した言葉は、穴倉に対してのものではない。
アリスの背中に触れた穴倉の手。
そこから流し込まれた、黒球の記憶。
穴倉が得た情報が、アリスにも共有された。
精神世界を通して、一切の齟齬なく、正確に共有された。




