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動いてくれよ
(これは……さっきの敵か)
黒球の欠片の存在を感知した穴倉は、静かに動向を見る。
しかし黒球の欠片は動きを見せない。
(何もして来ないな。 でも)
黒球の欠片を警戒する穴倉。
むしろ黒球の欠片が何らかの害になると考えて、対処すべく逡巡する。
とはいえ穴倉の対処法といえば、手段は限られている。
(俺は隙は見せない。 ……とりあえず戦うか?)
当然こうなる。
穴倉は今まで、とにかく戦って来た。
戦い抜いて来た。
だからこそ、常に戦いを視野に入れている。
だがこの時、穴倉は閃いた。
それはある意味、いちばん平和的な行動。
戦わない対処法。
「なぁ、動いてくれよ」
穴倉は、自分の内なる心に向けて依頼する。
動いてくれよ、と頼み込む。




