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そう上手くは行かなかった
「……!」
黒球は、声にならない声をあげる。
その悲嘆は、アリスたちにつぶさに伝わった。
穴倉は、その感情に触れて、大きく頷く。
クマガイは目を閉じながら、小さくうつむいた。
黒球、そして穴倉、クマガイのリアクションは三者三様。
だが、全員に共通する思考は一緒だ。
───アリスには話が通じない。
そしてこの思考は、感情の色として変換され、アリスに届く。
アリスに届いたのは、巨大な諦めの感情。
穴倉は、いっそ清々しい程に、アリスに従う思いでいる。
クマガイは、アリスに振り回されて来たこれまでをただ思い出している。
そして黒球は、失敗を思い返している。
「……!」
黒球にとって、アリスの魂への寄生は、成功すれば、一つの到達点となるはずだった。
というのも、アリスは現在、この世界の神の支配から外れていて、干渉を受けない。
しかし、女神と等しい存在にもなっていて、この世界に干渉出来る。
それこそが、この世界への干渉こそが、異界の邪神である黒球の目的だったのだが、そう上手くは行かなかった。




