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困惑の黒球
その焦りは、即座にアリスに伝わる。
(おうコラ、だいぶビビってやがんな。 まぁ、俺の考え通りだな。 イケるわ)
「テメェはクマガイの魂にへばりついて生きてんだよなぁ? 俺がテメェだけ追い出したらよぉ、死ぬんだろ?」
アリスは嬉々として黒球に話しかける。
と同時に、その心の色は、穴倉、クマガイ、そして黒球へと伝わる。
「ひどいな」
「うわ」
「……!」
アリスの心の色は、あまりにシンプル。
圧倒的な攻撃性と加虐心のみである。
目先の敵をただ踏みにじろうという意識で、殺害しようとしている。
それを阻止せんと、黒球が行動しようとする。
だが、アリスがさらに脅す。
「動くんじゃねぇ! 今すぐ追い出すぞ!」
「……!」
黒球は動けない。
アリスは、駆け引きをする気がまるでない。
ただ敵を排除するのみというアリスの意識が、黒球に刺さる。
お陰で黒球は、困惑の感情に支配される。
そしてその感情は、アリスたちに伝わる。
「……!」
黒球は、クマガイにそうした様に、アリスに語りかけ、動揺させたかった。
黒球は、相手の弱い心を引き出し、魂の隙間に寄生することが出来る。
だがアリスには、とりつくしまもない。




