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クマガイへの投げかけ
立っていた穴倉が、その場に座った。
クマガイと向かい合ったまま。
クマガイの正面に。
「何か、悩んでる?」
そして声をかけた。
穴倉はクマガイに別段興味があるわけではない。
興味はないが、アリスの中に入った者同士という点で、気になったというのはある。
穴倉は、クマガイがアリスと急激に接近していることに、思うところがあるのだ。
というのも、穴倉は、自分がアリスの為に造られた存在で、アリスの為に在るということを存在意義としている。
だから、自分以外の者たちにも、造られた意味があると思っている。
穴倉がクマガイを見つめる。
「別に、悩むことなんか、ないと思うけど」
故にこの言葉は、単に、役割を全うしろよ、という投げかけでしかない。
穴倉が見るに、クマガイには、アリスの敵、引き立て役という存在意義がある様に見えている。
それを役割として生きろよ、と投げかけているだけなのだ。
何故ならば、クマガイは、存在意義に反して生きている様に穴倉には見える。
それはある意味で、自由に生きている様に穴倉には見える。




