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崩れる成功体験
クマガイには、抱えていた劣等感、コンプレックスがある。
自分だけが上手く行かないという実感。
それは強大で、クマガイの生に横たわる、永遠のテーマと化していた。
そう断言しても過言ではなかった。
お陰でクマガイは、あらゆる負の感情を心の内に持っていたし、それが行動に結び付いていた。
クマガイの脳裏によぎる、妬み、嫉み、怒りの記憶。
(あの日々が全部……)
そして風の力を得ながらの意識改革。
改心。
(あれが全部……)
今、クマガイが持っているものが。
全てが。
(全部、仕組まれていたって思うとさ……)
全てが用意されていたのだとしたら。
そうだとしたら。
(俺って、俺たちって何なんだろって思うじゃん……? なぁ穴倉、そうだろ……? そうだって言ってくれよ……)
クマガイは心の中で溜め息をついた。
(お前は全部知っているんだろ? なら今の俺と同じのはずだろ?)
これまでの成功体験が崩れてしまったら。
クマガイは、すがるものを見失ってしまう。




