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傲慢さの消失
そしてアリス。
クマガイが知る有栖川は、傲慢で、人を踏みつけることに何の抵抗も見せなかった。
だが、今のアリスは、配慮や思いやりをかんじさせる部分が多々ある。
そこにクマガイは惹かれたし、魅せられた。
アリスが語りかけてくる。
「おめぇらを呼んだのは他でもねぇわ。 ちっと話を聞かせてほしいわ」
この言葉にクマガイは、ある種の感慨すら覚える。
有栖川ならばあり得ない言葉だからだ。
穴倉は寝転がったまま。
そしてクマガイはアリスを見たまま。
「いいけど、何?」
「いいよ!」
二人共に快諾する。
クマガイ個人としては、アリスへの害意が湧かないことが快諾に繋がっていると言える。
だからこそクマガイは思う。
以前の有栖川だったならば、こうはならない、と。
穴倉とクマガイの言葉を受けて、アリスは柔らかくはにかむ。
「すまねぇなぁ。 頼むわ」
またも、あり得ない言葉だと、クマガイは思った。
有栖川ならば、こんなに易々と、人を頼り、感謝したかどうか?
もっと傲慢に依頼したのではないか?
そうクマガイは思うのだ。




