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発展しない思考
とはいえ、黒球はもう弾けた。
先程まで放っていた光も消え、今や残骸でしかない。
クマガイはそこに感慨もなく、何となく目を逸らす。
思考はあるが、それはそれとして、深慮には発展しない。
既に倒したものについて、追って検証する程の思考力はクマガイに備わってはいない。
(うーん、何かひっかかるんだけどなぁ)
思うところはある。
クマガイなりに思うところはあるのだ。
(何かが)
だが、そこに何かを見い出すことはなかった。
クマガイにとって黒球は、アリスによって倒されたもの。
そうなると、深慮の対象にはなり得ない。
アリスが勝利した場合、その勝ちにクマガイの思考は挟みにくい。
無意識のうちにクマガイは、アリスに対して気を遣ってしまっているのだ。
それは無理からぬことかもしれない。
一時気持ちが揺れた後ろめたさが、クマガイの思考を発展させなかったという部分は確実にある。




