1861/2233
叫ぶ黒球
しかし、黒球の思惑通りにはならなかった。
クマガイは、闇に堕ちなかった。
それは黒球にとっては、あり得ないことだった。
それ程までに、クマガイが抱いていた感情は、暗いものだったのだ。
「……」
あてが外れた格好の黒球。
肥大化しながら、火球の炎に焼かれ、そしてその炎を内に取り込んで行く。
エネルギー許容量はいよいよ限界を迎えているが、それを察知している者はこの場にはいない。
「……」
黒球は、叫んだ。
そして炎を一気に飲み込まんとする。
一斉に何倍もの大きさに膨れた黒球。
そして火球をスッポリと包んだ。
「……」
限界ギリギリだが、黒球は穴倉の火球を飲み込みきった。
本当に飲み込みきった。
誰にも届かぬ黒球の声が、やった!という風な声が、どこかにこだましたかもしれなかった。




