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黒球の苦労
同じ要領でアリスを狙いたかった黒球。
だが、アリスの心を揺さぶるきっかけがなかった。
アリスとて、負の感情を持たないわけではない。
心揺れぬわけではない。
だが、すぐに立ち直ってしまう。
悩みが悩みとして持続しない。
負の感情と結び付く黒球にとって、ポジティブな者は一番相性が悪い相手ということになる。
一時的につけ入ったとしても、心持ちが明るくなってしまえば、黒球は途中で弾き出されてしまう。
この世界に干渉するには、この世界の者に寄生せねばならない。
黒い負の感情を慢性的に抱えている者を探さねばならないのだ。
黒球のこの苦労は誰にも伝わらない。
「……」
だが、方法がないわけではない。
傍若無人で唯我独尊な性格のアリスではあるが、仲間に対する思い入れは強い。
それを黒球は察知出来た。
つけ入る隙はそこにあると、黒球は察知出来た。
「……」
だから黒球はクマガイの心を狙った。
まずクマガイをアリスから引き離し、ショックを与える。
そしてクマガイが引き返せないところまで誘導した後、アリスの心へと移る気だった。
しかしクマガイは黒球を拒絶した。
まさか拒絶されるという選択肢が存在するとは、黒球は思いもしなかった。




