1857/2233
装置
黒球は火球に包まれて、際限なく押し寄せる炎を吸収し続けていた。
しかしもう限界が来ていて、ヒビが入る。
「……」
断末魔の叫びは、声としては届きはしない。
異界から来た黒球は、この世界で一人ぼっち。
内に取り込んでいるデシネとその妻も、黒球のことを何一つ理解っていない。
「……」
そもそも黒球は、デシネとその妻を、装置としか思っていない。
この世界でたまたま見つけた、扱いやすそうな二人。
黒球はデシネと対話して二人のことを知り、デシネに黒球のことを教えた。
これにてデシネはこの世界の真実の一端を知り、理を覆す力を望んだ。
デシネが望むのは、妻を結晶化から復活させる方法。
それは今の黒球に出来ることではないが、方法はわかる。
組成魔法をかければそれでよい。
ただ、その使い手が見当たらなかった。




