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真実がどうあれ
とはいえ、アリスは知っている。
クマガイが人間でないことを今は知っている。
クマガイだけではない。
服部あずみが、妾の子ではないと、今は知っている。
池中瑠璃が、貧しい育ちではないと、今は知っている。
高木亜実が、片親ではないと、今は知っている。
泥島保典が、穴倉羊透と親友ではないと、今は知っている。
そして、アリス自身も、自分に過去などないと、今は知っている。
全員が人間ではないと、今は知っている。
だがアリスは、アリスなりに真実を受け止めている。
自分が人間ではないことを受け止めている。
その上で、過去の記憶を、自分のルーツとなる記憶として、持ち続けようと思っている。
アリスにとって、過去の記憶こそが、仲間たちとの絆。
真実がどうあれ、それを捨てようとは思っていない。
服部あずみ、池中瑠璃、高木亜実に囲まれていたいし、泥島保典、穴倉羊透とは友だちでいたい。
そしてクマガイとだって。




