アリスたちと似た存在
黒球が成し得たかったのは、クマガイの中に魂を宿すこと。
そうすれば、黒球の肉体が滅んでも、意識は残る。
これは、アリスの中にクマガイの魂を宿したのと似ている。
黒球は、アリスたちと似た存在なのだ。
(……)
クマガイは黙りこくったまま。
ただ、黒球から得た情報を元に思案している。
元来、クマガイは思慮浅い。
そして短絡的な衝動に身を任せて来た。
しかしそれは、そう造られたからであり、基本となる性格でしかない。
だが今のクマガイは、自分が造られた存在であることを知っている。
そして、己が持たされた〝存在理由〟を知っている。
クマガイが持たされた性質の中で、〝存在理由〟だけが、抗うことの出来ない本能。
しかし、〝存在理由〟以外の性質は、己の意識で変えて行ける。
クマガイはそれを知ってしまった。
そしてそれは、己の全てを知る前に、実行し始めていたことだった。
(そりゃあ、ショックだったけどさ……)
クマガイの心はにわかに沈む。
しかし、すぐに前向きに持ち直した。
以前のクマガイならば、衝動のままに喚き、暴れようとしただろう。
だが今のクマガイは、そうはならない。
(俺は、ただ造られただけじゃない……!)
クマガイは知っている。
自分が卑劣で卑屈で短絡的な性質を与えられて造られたということを。
クマガイは知っている。
しかし、今の自分が、卑劣で卑屈な性質からの脱却を果たそうとしていたことを。
クマガイは知っている。
自分が短絡的であることを。
故に思慮しているのだ。




