黒球とデシネ
黒球は、クマガイの気持ちの変遷に落胆する。
それは、期待外れだった、という感情が多分に含まれていた。
黒球が期待していたのは、負の感情の増大。
それによる、自分との融合であった。
黒球は、この世界のものではない。
別の次元から飛来した、異界の神である。
強大な力が内包されている存在だが、その力の多くはこの世界では使えなかった。
故に、この世界での力の行使を目指した。
結果、二つの方法を見つけた。
一つは、デシネの様な者との融合である。
黒球は、様々な力を持っている。
だが、行使出来る力はいくつもなかった。
異界のものである黒球が、この世界で力を行使しようとしても、ほとんどの力を出力出来なかった。
出力方法が別のものだったのである。
お陰で、自分と適合する者を探さねばならなかった。
結果、デシネを見つけたのであった。
デシネは世界に恵まれず、憎悪を抱えていた。
誰も妻を助けてくれない。
誰もデシネを助けてくれない。
この世界にデシネと妻は二人きりで、デシネは一人きりだ。
この想いこそが、デシネの憎悪の源。
黒球との融合を果たすに至る理由であった。
故に黒球は、デシネの想いを利用した。
次元を移動し、デシネの前に現れて、世界を混沌へと堕とす共犯者への道を説いた。
デシネは頷き、黒球をその体に迎え入れた。
こうして邪神デシネとなったのである。




