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俺、何もやってないんじゃん
クマガイが知ってしまったこと。
それはこの世界の多岐に渡る内容だった。
知らなければ、クマガイは、前世での振る舞いを仲間たちに謝罪したはずだ。
謝罪をもって、関係性の再構築のきっかけを作ろうとしたはずなのだ。
(前世がなかったっていうなら、俺がやって来たことって意味ないじゃん)
クマガイは意識をアリスに向けた。
アリスはクマガイを背負い、走り続けている。
(せっかく、仲良くなって来たのに)
心底落胆するクマガイは、アリスとの関係性について思うところがある。
現在、良好な関係性であるが故に、ここまでの経緯を思い出すと、虚しい気持ちになってしまうのだ。
(前世がないなら、前世の罪滅ぼしに謝る必要ないじゃん)
クマガイは、自分で考え、行動してきた。
前世の自分の暴挙を踏まえて、今を生きてきた。
だが、クマガイの記憶は、植え付けられた『設定』でしかない。
それを完全に知ったクマガイは、アリスにも、仲間たちにも、後ろめたく思う必要がないと、今は思い始めている。
(俺、何もやってないんじゃん)




