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俯瞰(ふかん)のクマガイ
穴倉の自爆によって発生した業火の火球。
その範囲が次第に広がり、アリスたちはその被害から免れようと、逃亡に全精力を注いでいる。
しかし、火球の範囲拡大の速度は凄まじい。
アリスたちは、背後に迫る火勢に飲み込まれそうな勢いだ。
「あっつ! あァァっつ!」
先頭走るアリスは、火球との距離が一番開いている。
すなわち、火球の熱を一番かんじにくい。
だが、それでも汗だくになっている。
そして熱さに絶叫する程には、火球の熱は届いているのだ。
「まじでふざけんなよ穴倉の野郎! 止まれや! オイ!」
穴倉は既に絶命しているので、アリスの声は聞こえないだろう。
しかしアリスは、叫ばずにはいられない。
自分が置かれた状況にいちいち文句をつけていくのがアリスだ。
その様子をクマガイは、黒球と共に見ている。
アリスの背中でリュック化しているクマガイは、火球に顔が向かっている格好。
だが、意識は別のところにある。
アリスたちの姿を俯瞰で冷やかに見下ろすクマガイは、自分の肉体も危険に晒されているが、しかし、騒ぐ様子はない。




