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知識、理解を深めてゆく

 アリスの背中でリュックサックになっているクマガイの意識は、暗い、暗いところにあった。

 そこがどこなのか、クマガイには分からなかったが、しかし、アリスの声や息づかいは、リュック体となっているクマガイの背中越しに伝わっていたし、他の者たちの声も、何故だか全て聞こえていた。

 各人の位置はバラバラで、とても声を聞ける様な距離ではないはずなのに、声は鮮明に聞こえるし、それがどういう意図で発したものなのか、クマガイには全て理解出来た。


(何か、アリスの中にいた時みたいな感覚だな……)


 アリスの中にいた際、クマガイはアリスの感情の色を感知することが出来た。

 それに似た感覚を今まさに体感しているクマガイは、これが何なのかも、全て理解出来た。


(俺、今、異次元にいるんだ)


 そしてクマガイは、まどろむ様な意識の中で、声を聞いた。

 それは、デシネを包む黒球の声だった。

 だが、音として聞けたわけではない。

 この暗闇の空間において、思念そのものがダイレクトに聞こえてくる。

 言語化不可能な異界の言葉は、しかし、何を言っているのか、クマガイには確かに分かった。

 故に、クマガイは黒球に反応し、その声と対話してしまう。


(え? あのデシネってオッサンとリンクして、合体して邪神になってたのか。 デシネが死んだからリンクが切れて、ただの黒球に戻った? 黒球って何なわけ? 異界の神様なの? え? ……この世界では、誰かと合体しないと、ただ膨張するだけなの?)


 黒球に言葉を投げかけ、返答に聞き入るクマガイは、時折、呻き声をあげる。

 その声は、アリスたちには届かないが、黒球にはその意図を読み取られ、理解された。

 黒球の意図を理解出来るクマガイと、クマガイの意図を読み取り、理解出来る黒球。

 クマガイと黒球は、お互いの声に感応することで、お互いの世界についての知識、理解を深めてゆく。

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