範囲拡大
誰もが穴倉の火球に背を向けて走る。
火球はとてつもない速さでその範囲を拡大して追ってくる。
飲み込まれるのは時間の問題か、と思われる程に、範囲拡大は終わらない。
アリスは爆走しながら後ろを振り返り、迫る火球の勢いに顔を歪めた。
「オイー、おかしいわ!」
絶叫し、そのまま口を開けたまま走るアリス。
いつしかデロリと舌を出しながら、体勢をより前倒しにして走る。
その姿は、お世辞にも女神といった雰囲気ではない。
むしろ獣じみていて、なりふり構わぬ様子は、美しさの欠片もない。
「穴倉ァ! お前ぇ! 前の自爆は、こんなんちゃうかったやろぉ!」
またも絶叫したアリス。
地上での穴倉の自爆ですら、かなりの範囲だったが、今回の自爆の範囲は、その比ではない。
とてつもない広範囲になりつつあり、そして、範囲拡大の勢いは更に増している。
「アイツあんなよぉ! 蛇だかウーパールーパーだかわかんねぇカッコになってお前! 爆発えげつなくてウザいわ!」
姿の変わった穴倉は、身体的にも、能力的にも、以前と比べものにならないポテンシャルを誇る。
その代表的な例が、混血熱線砲の連発が可能になった点だろう。
いや、厳密には連発ではない。
頭部、胸部と、熱線砲の砲門が増えたのだ。
熱線砲の威力も向上している。
自爆の拡大も、それと同じなのだろう。
現在の穴倉の自爆は、かつての穴倉の自爆と同一のものではない。




