ワキガなんて背負わせやがって
今、アリスは、挫折に似た感情を持っている。
無力感を抱いている。
(大したことも出来てねぇわ)
それは、少しずつ積もっていた気持ち。
この世に生を受けてから、心のどこかに溜まっていた気持ち。
(俺の力で成し遂げたモンって、実はねぇんじゃねぇの?)
美貌。
恵まれた身体能力。
無尽蔵に近い魔力。
仲間たちに囲まれる立場。
全てが誰かによって作られたもの。
(力だって何だって、俺が努力して勝ち取ったもんじゃねぇ。 いつも誰かに与えられたもんだわ)
そして、その力が通用しない今、頼るのは仲間という存在で。
しかも、甦らせることが出来るとはいえ、命を投げ出せと言ったわけで。
(俺ってヒドい奴だわな)
自嘲気味にアリスは笑う。
自己嫌悪の気持ちが、胸のうちに一瞬広がる。
だが、それはほんの一瞬で、別の気持ちに切り替わる。
「俺が誰かに造られたから何だっつーんだよボケがよぉ。 俺の可愛さも強さも何だってよぉ、俺じゃなきゃ、俺の使い方にはならねぇわ。 それによぉ」
アリスは自分の左脇をクンクンと嗅いだ。
ほのかにスパイシーな香りがする。
「このニオイだっておめぇよぉ、与えられたもんだっつって、片付けられるワケがねぇわ。 こう思ってる俺の心は、誰かに造られたモンじゃねぇ。 ワキガなんて背負わせやがって、神か悪魔か知らねぇけどよ、正座させてシバいてやるわ。 そん為にはよ、穴倉ぁ」
「何?」
「おめぇの力だって何だってよぉ、それこそ命だってよぉ、俺に全部貸しやがれ」
アリスの瞳に炎が宿る。




